消耗品等の購入で節税対策する場合の注意点
会社の決算期が近づき、思ったより利益が出ていることに気付いて節税対策が必要になった場合、消耗品等を大量に購入して利益を圧縮させる方法を思いつかれる方もおられるでしょう。しかし、期末に大量の消耗品等の購入による節税対策を行うと、その期の経費として認められない可能性があります。ここでは、消耗品等の購入による節税対策の注意点についてご紹介します。

消耗品等の会計処理
消耗品等とは、日常的に使用する事務用品や清掃用具、備品など年月とともに消耗していくもので、使用期間が1年未満か取得価額が10万円未満のものは消耗品等に該当し、消耗品費という科目で経費として処理することが可能です。
ただし、消耗品等は、原則的として購入した事業年度ではなく、使用した事業年度に経費になります。つまり、決算日間近に大量の消耗品等を購入しても、「買っただけで、まだ使用していない状態」であれば、購入した期の経費として認められません。
購入した期に経費にする要件
上記のとおり、消耗品費等は原則的として使用したときに経費として処理します。しかし、消耗品といっても、パソコンやその周辺機器から文房具類まで様々で、その全てについて「いつ買って、いつ使ったか」を管理すること非常に手間がかかります。そのため、次の3つの要件を満たしている場合には、購入時に経費処理することができると規定されています。
・事業年度ごとにおおむね一定数量を購入していること
・購入した消耗品費等は毎期経常的に使用していること
・毎期継続して消耗品等を購入した時に経費計上していること
(法人税法基本通達2-2-15)
決算間近に利益を圧縮するため大量の消耗品費等を購入すると、上記の「事業年度ごとにおおむね一定数量を購入していること」と「購入した消耗品費等は毎期経常的に使用していること」の要件に当てはまらないと考えられます。もし、利益圧縮を目的としていない場合は、それを説明できる合理的な理由と客観的な資料を準備しておくことが大切です。
貯蔵品になる場合もある
原則的に消耗品等は使用しなければ経費になりません。購入したけど使用していない場合は貯蔵品として資産計上することになります。つまり、決算間近の消耗品等の大量購入が税務調査等で認められなかった場合、税務上では貯蔵品として資産計上することになります。
貯蔵品に該当するものは、消耗品等だけではなく未使用の印紙や切手、商品券なども該当します。決算間近に切手や印紙を大量に購入しており、経費に計上している場合は税務調査で指摘される可能性が極めて高いと言えます。仮に決算末日までに全て使用している場合は、それを客観的に証明できる資料の準備が必要です。
まとめ
今回は決算間近の消耗品等の大量購入による節税対策についてご紹介しました。消耗品は原則的に使用しなければ経費にすることができません。例外的に購入時に経費にすることが可能ですが、毎期一定数量購入しており経常的に使用しているものでなければなりません。このことから、消耗品等を必要以上に購入しても節税対策にならないため、必要なものを必要な時に購入するようにしましょう。