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【効果の大きな節税方法】小規模企業共済とは?

小規模企業共済とは、おおざっぱに言えば、中小企業の役員や個人事業者のために国が作った退職金制度です。中小企業の経営者や個人事業主は自身の退職金を捻出することが難しいですが、この制度を利用することで将来の退職金を確実に準備することができます。また、小規模企業共済の掛け金の支払い時、運用期間中、受取時にそれぞれ大きなメリットがあります。ここでは、小規模企業共済についてご紹介します。



小規模企業共済の仕組み


小規模企業共済は、中小企業の社長や役員、個人事業主などが加入するもので、毎月掛け金を支払い、退職時や事業を廃止するときに、退職金として受け取ることができる制度です。小規模企業共済に加入すると、毎月掛金の支払いが必要ですが、この掛金は全額、経費のように処理(小規模共済控除)することが可能で、個人の所得税と住民税を節約できるというメリットがあります。退職時などに掛金を受け取るときは退職金として受け取るため、所得税や住民税の負担が軽減されます。

このように、小規模企業共済は税務上の特典が与えられており、中小企業の経営者や個人事業者にとって大きな節税効果がある制度です。




小規模企業共済に加入できる人

小規模企業共済は、次の業種に該当し、かつ雇用する従業員の人数が規定以下の場合に加入することができます。




掛け金支払い時のメリット

小規模企業共済の掛け金を支払った年の所得税と住民税が減額になります。支払った掛金は、支払った全額が所得控除の対象となり、給与所得や事業所得から控除することができます。そのため、小規模企業共済は大きな節税効果がある制度であり、特に、所得が多い人(=所得が多く高い所得税率が適用される人)ほど節税効果は高くなります。


次の表は、小規模企業共済の掛け金を支払うことで節税になる金額です。


(中小機構のホームページより作成)



加入期間中のメリット

小規模企業共済は、加入期間中にもメリットが多くあります。



①契約者貸付金制度

急に事業で資金が必要になった場合には、小規模企業共済の「契約者貸付金制度」を利用することができます。貸付金額は掛け金の納付期間に応じた貸付限度額の範囲内になり「一般貸付制度」「緊急経営安定貸付け」「傷病災害時貸付け」「福祉対応貸付け」「創業転業時・新規事業展開等貸付け」「事業承継貸付け」「廃業準備貸付け」が用意されています。貸付の目的により借入期間、利率が異なります。



②共済金の受給権は差押禁止

小規模企業共済の共済金や解約手当金の受給権は、国税等滞納の差押以外は差押禁止債権として保護されています。事業で万が一のことがあっても、受給権は保護されることは心強いことです。



③掛け金の自由度が高く変更可能

小規模企業共済の掛け金は月額1,000円から70,000円まで自由に決めることができるため、無理のない範囲で掛け金を設定することができます。また、掛け金の支払いが難しくなった場合には、掛け金を減額することが可能です。反対に収益が増加した場合は、掛け金を増やすことも可能です。さらに、掛け金を1年間前払いすると、掛け金が割引になる制度があります。



受取時のメリット


共済金の受取は「全額を一括して受け取る方法(一時金)」と「分割して受け取る方法(分割)」または一時金と分割を併用する方法があります。一時金で受取った共済金は「退職所得」として所得税および住民税が課税されます。退職所得の計算では、給与所得などの他の所得と別に税金の計算を行う「分離課税」になります。退職所得の計算は、退職金の金額から期間に応じた退職所得控除を差引き、残額に1/2を乗じる方法によって所得が計算され、通常の給与所得などと比べて納税額が少なくなり、税務上優遇されています。


分割で受取る場合には「雑所得」として取り扱われますが、公的年金と同様に取り扱われるため「公的年金等控除」の適用を受けることができます。そのため、所得税および住民税の納税額を少なく抑えることが可能です。


小規模企業共済の注意点

小規模企業共済に加入する際にはいくつかの注意点があります。


①途中解約すると掛け金を下回る

掛け金の支払期間が20年未満の場合は、元本割れすることがあります。また、解約金は退職所得ではなく「一時所得」として総合課税に該当します。


②事業保証の役割が十分でない

小規模企業共済は退職金の積立を主な目的としている制度のため、事業保証は十分ではありません。そのため、保険会社が提供する法人保険などを別に検討する必要があります。





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